そしてある日、事件がおきます。
いつも通り娘を迎えに行くと、先生が鬼の形相で待っていました。
「今日、りんごちゃんが〇〇くんに噛みついたんです!ずーっと離さなくて!〇〇くんかわいそうに、昼前に噛みつかれたのに、さっきもまだクッキリ歯型がついてましたよ!おもちゃを取られて返して欲しかったみたいですけど、口より先にこの子は手が出るんですね!どれだけの力で噛みついたのか…〇〇くん、すごく泣いて痛がってましたから!」
とすごい剣幕で言われました。
ひたすら謝り、相手の子は?と聞くと「もうとっくに帰りました!歯型クッキリで!」と言われ、しょんぼりと帰路につきました。
どうしようか迷いつつ、先生のあまりの剣幕に相手に謝るべきかな…と思い、たまたま相手の連絡先を知っていたので電話しました。
「お互い様なので…」
と言ってもらえて良かったですが、何となく気まずい関係になりました。
そしてその1年後、今度は幼稚園で似たトラブルがおきます…。
幼稚園に迎えに行くと、先生から
「お友だちとトラブルがあって、叩いてしまったようで…」
と伝えられました。
ああ、またか。
保育園の頃のコトを思いだして、胸がギュッと苦しくなり、体温が下がる感覚がしました。
謝らないと…と口を開こうとしたトキ、先生から耳を疑う言葉がでてきたのです。
「思わず叩いてしまうまで追い詰められていることに気づかずに、申し訳ございませんでした。こちらの目が届いていなかったばかりに、りんごちゃんに悲しい思いをさせてしまいました。本当に申し訳ございません」
理解が追いつきませんでした。
あれ?なんで謝られてるんだっけ?あれ?うちの娘がお友だちを叩いたんだよね?ん?ん?
「相手の子もケガはなくて、お互いに泣いてしまったんですけど、2人とも落ちついてその後は一緒に遊べたりしていて、りんごちゃんも手は痛くないと言っていたのでケガは大丈夫だと思いますが、とても悲しかったと思うので…本当に申し訳ございません」
コチラの頭が追いつく前に何度も謝られ、やっと我に返ったわたし。
「いえ、うちの娘が申し訳ございません。先生に謝っていただくことではないので…相手の子は誰でしょうか?」
ともかく相手の親に謝らねば!と思ったのですが、先生はその情報を最後まで漏らしませんでした。先生いわく、園で起こったことは園の責任なので、相手の方への謝罪も園が行います、とのことでした。
先生の誠意が伝わってきて、転園してきて良かったな、この先生で良かったなと心から思った出来事でした。いまでも思い出すと目頭が熱くなります。
保育園は預かってくれるのはありがたいけれど、親の目が届かない部分の出来事でも親の教育が悪いんじゃーと責められるのが嫌でした。