のこのこ情報

~この話、もしかしたら誰かの役にたつ?~

危機的状況は突然に

『やばい…』

ミチは背筋がスッと寒くなるのを感じた。

 

背後から音もなく忍び寄った ”ナニカ” が

突然、ドサリとミチの背中に

覆いかぶさったのだ。

 

ミチの頭の中に一瞬で様々な想いが駆け巡る。

 山の中。

 1人。

 まわりに人気はなかった。

 ここに来ることを誰にも伝えていない。



いたのはこんな場所。
はるか向こうに人家が見えます。

 

覆いかぶさっているのは…

 クマ?

 人?

 イノシシ?

 シカ?

 

ミチは全身が冷え切り、手が震えるのを感じた。

それでも、生き残るためには戦わないと。

 

幸いにも、ミチの手には

電動草刈り機(ビーバー)があった。

『振り向いたと同時に攻撃したら、

 撃退できるかも…やろう!』

ミチは覚悟を決めた。

この間、数秒。

相手が次の手を打ってきてもおかしくない。

 

迷っている暇はないとばかりに、

ミチは草刈り機のスイッチに指をかけ

バッと振り返った。

 

草。

 

今しがた自分が刈り取った

背丈よりも大きな草たちが、

ドサリとミチの肩に覆いかぶさっていた。

 

口から飛び出そうなほど高鳴っていた心臓は

一気に定位置に戻り、落ち着きを取り戻す。

冷え切っていた体は急に夏の暑さを思い出し、

ジットリとした汗がドッと噴き出した。

 

「帰ろ…」

ミチは1人つぶやき、

そっと草を肩からおろした。

 

暑い中の草刈りって死にそうになるから、ついついサボっちゃう